ひとすじのひかり

思いつくまま気の向くまま

正直な生き方がつくる、新しい秩序

嘘が好きじゃない。

嘘をつく人は信用しない。

誤解を恐れずにいうと、そもそも、人は信用するのは、過剰な期待とも思っている。

人は状況によって意見や考えが変わるものだし、それは仕方のないことだからだ。


わたし自身、嘘をつくつもりはなかったけれど、
離婚のように、結果的にみると「嘘つき」と思われてもしかたない選択もした。


イスラム教国を旅するとたびたび、
「インシャアッラー(アラーの神の御意思なら)」
を耳にするけれど、

すべては神様の御意思なのだと、わたしも思う。



人間には、すべてを受け入れていける意思の力は完全に備わっていないから、
全てを見通す能力は与えられていないのだ。

できると思ってもできないこと、
やろうと思っていてもできなかったこと、

そんなことはたくさんある。



だからわたしは約束事が苦手だ。


約束を守るために、嘘をつかなければならないことがあるからだ。


気持ちはとおに冷めているのに、惰性で続けている結婚、
楽しくないと思いながら、生活のためと納得させている仕事、
本当はいきたくないと思っているのに出かけていく会合、


人が本心と違う行動を選択することはごくありふれた日常だったりする。


ちょっと前までは、使命感みたいなものが、
この違和感を埋めていた。

家族のため、会社のため、みんなのため、

みながそう思っていた頃は、
お互いの事情を理解して思いやってもいたけれど、

今は約束を守らなきゃとがんばったところで、
「そんなにしてくれなくてよかったのに」と言われる時代。



全体の意識は、個を尊重するほうにシフトしつつある。


全体の調和がよくて、個の尊重が悪いというようなことではなく、
森の生態系に象徴されるように、また宇宙全体がそうであるように

この宇宙は、破壊と再生のリズムの中にあり、
全体の調和に向かって進んできた時期が極に達して、
今は個を大切にしたいという意思が芽生えて
新しい秩序が生まれようという段階にきている。


ただ、みなが自分自身の内側に芽生えている「正直な気持ち」を
受け入れていないだけだ。



社会全体が、そのように選択していることは世界をみまわしてもわかる。
今までは、戦争のない平和な一致した世界を目指してきたけれど、
自国や、自身の身内の利益を優先する発言を繰り返すリーダーが政治の世界でトップにいる。


これは、特定の政治家個人の問題ではなくて、社会全体の意識の結果に過ぎない。



全体の調和のためには、個の犠牲はやむをえないという考えは、まだ確かにあって、
その中では、「正直な気持ちの持ち主」は、単にわがままで迷惑な人になる。


だから、多くの人はそんな自分も、他者も受け入れられず、
全体の意思に迎合するために、自分に嘘をついている。



でも、自分に嘘をついて、「いい人」を演じることは、
いったいなんのためになるというのだろう。


多くの人が、思いと行動が一致していないことによって、
心を病み、幸せを感じられなくなっている。


自分を優先することは、ときに人の迷惑になる。
でも、それでいいとわたしは思う。


自分が迷惑をかけたぶん、人に優しくなれるものだからだ。


迷惑をかけないようにしている人は、そのストレスが他者に向かいがちだ。
「自分は人に迷惑をかけない」と宣言しているような人は、
他者にもそれを強要してしまう。



あたらしい秩序が生まれる前は、混沌とした時期を通り抜ける。
個の時代の到来は、いま政治の世界ですごいインパクトを与えているけれど、
それはいずれ、極に達して、収束に向かう。



宇宙はその誕生以来、マクロの世界でもミクロの世界でもそれを繰り返してきた。


だから、恐れずに、真実を生きよう。


あなたがいま選択する、あなたの真実は、
調和を乱し、破壊的であるかもしれないけれど、

調和を優先しているうちに、忘れ去られてしまった個の再生であり
新しい調和へのゆらぎでもあるのだから。